日本橋の家House in Nipponbashi / 1992.03 / 大阪市浪速区 / 平井 広行

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日本橋の家House in Nipponbashi / 1992.03 / 大阪市浪速区 / 平井 広行

「日本橋の家」は大阪の下町、極小の敷地に建つ住宅である。敷地一杯の間口2.5m、奥行13.0mの建物の1階から3階までの階高は可能な限り低く抑え、逆に最上階は建物全体の約2/3を天井高6mのダイニング・ルームとし、残りの奥1/3をテラス、屋外空間としている。その結果この建物は間口の狭い敷地の奥行き方向と同時に、垂直方向にも延びてゆく空間を持つことになった。都市での生活を垂直方向に展開すること、そしてたった数平米しかないテラスと、ダイニング・ルームを含めてもせいぜい30平米に過ぎない空間ではあるが、最上階に地上の喧騒から隔絶されて浮遊する生活空間を持ち、しかもそれが自然に接したものであること、というのがこの住宅の主題であり、それは屋上庭園という形式を見直してみたい、という試行の結果でもあった。
特権的な眼差しと特有の浮遊感を同時に持ち得ること、これが屋上庭園という近代が獲得した空間のみが持ちえる資質なのだろう。「日本橋の家」のささやかなテラスとダイニング・ルームがそれに値するものかどうか、それはわからない。しかし我々の時代が獲得したものに対して無自覚でいることだけは避けたいと考えているのだ。

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日本橋の家
竣工
1992.03
所在地
大阪市浪速区
photo
平井 広行