WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

青森県立美術館Aomori Museum Project

設計
2000.01
所在地
青森県青森市

このプロジェクトは、三内丸山遺跡に隣接する青森県総合芸術パーク内に計画された美術館設計競技への応募案である。青森県総合芸術パークは、縄文時代の巨大遺跡である三内丸山遺跡を中心に計画されており、この計画に際しても『縄文』を意識し計画を進めた。そこで、縄文時代の代表的な建築形式である竪穴式住居を手がかりとして、傾斜地に沿った美術館を計画している。
我々の提案する建物は等高線に沿って徐々にセットバックして配置され、床レベルを傾斜に合わせて変化させることでランドスケープとの一体化を図っている。屋根は床がつくり出す階段状の地形を覆うように架けられており、等高線の方向に三つに分割されている。三棟のヴォリュームは傾斜に合わせてランドスケープに沿うような形で曲げられ、場所によって様々に変化する内外空間をつくり出すことで美術館としての多様な機能に対応するように考えた。
美術館の課題である光の扱いに関しては、全てを人工照明とするという方法ではなく、自然光を大切に扱い屋根面からの採光を採用している。しかし、光が有害となる展示内容も考慮して、常に一定量の光を維持できるように考慮し、多層化しメタル・コートされたガラスの屋根面の外にさらにコンピューター制御による可動式のルーバーを設け、ガラスの内側には天井として半透光性の布を張る。ルーバー、多層のメタル・コート・ガラス、そして布という三層の光の拡散層を設けることで、柔らかで安定した光が室内に届くように計画している。