WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

京都から_rebooting Modernism京都から_rebooting Modernism

竣工
2016.04.01-2016.04.20
所在地
京都市
用途
個展
写真
市川 靖史

東京のギャラリー・間で「京都に還る_home away from home」と題し開催した個展を再構築した個展。開催地が京都であるため「京都に還る」というわけにはいかない。京都と付き合い続けることを覚悟して、「京都から_rebooting Modernism」と題した。

サブタイトルのrebooting Modernism、「近代主義を再起動する」は、私が1970年代から主題としてきたこと、Modernism「近代」という時代をどう見直すのかという主題からは逃げない、という覚悟を言葉にしたものでもある。

京都という街で、建築家として35年間抱え続けてきた二律背反的な主題。

「建築家として現代的な作品をつくること」

「京都、それに代表される日本的な建築空間の伝統をどう引き継げるのか」

そもそもそれは京都という街に活動の基盤を置いたからであり、京都に居を定めて良かったとようやく思えたのは、この街で活動し始めて15年近く経った後、大徳寺横に紫野和久傳という、小さな建築を設計してからである。

建築家として作品をつくりはじめると同時に、大学で設計教育にも関わり続けてきた。

1981年から2016年まで、個展開催場所の京都造形芸術大学の前身である京都芸術短期大学にはじまり、京都工芸繊維大学、そして京都大学と3つの大学で教育・研究に携わってきた。幸いなことに、その3つの大学にそれぞれ、ひとつずつ作品を残すことができた。

この展覧会は、その3つのそれぞれの大学の学生たちに自分たちの大学にある私の仕事を模型やそのほかの素材で表現してもらった。京都造形芸術大学高原校舎、京都工芸繊維大学KIT HOUSE、京都大学北部キャンパス運動部部室棟の3作品である。

建築作品は設計した建築家の名前で語られるが、たった一人の建築家の手だけで完成できるものではない。設計・監理した者だけではなく、実際の施工に関わった職人さんたちやその素材を作ったメーカーの人たち、そして竣工してからはその建築を使用する人たちがみんなでつくるのが「建築」なのである。展覧会ではあるが、多くの大学の学生諸君に関わってもらうことで、「建築」を創ることが共同作業の結果であることを疑似体験してもらう機会になったのではないだろうか。