WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

苦楽園の家ⅡHouse in Kurakuen II

竣工
2001.06
所在地
兵庫県西宮市
写真
平井 広行

敷地は阪神間に特徴的な、海へと向かう傾斜した住宅地にあり、形状は前面道路からほぼ7m上がったところから30度近い傾斜で斜面が立ち上がっている。この敷地からはその住宅地全体、そして緑の谷とその向こうに拡がる阪神間の都市風景と大阪湾など、全ての風景を一望のもとに納めることができる。ここではその特権的なランドスケープをどう受け止めるのかということから考え始めた。鉄骨造で空中に浮遊する2つのブロックは左側が個室ゾーン、右側がリビング・ダイニングのゾーンであり、この2つのブロックはスロープで結ばれている。左側の個室のブロックでは最上階の屋根を可能な限り薄く見せ、隣接するテラスと合わせてさながら空中に住まうかのような体験を演出するため、水平連続窓を採用した。2層吹き抜けたリビング・ダイニングのブロックでは本来は2層分の大開口がとれる場所であるにもかかわらず、むしろその逆に開口を小さくすることを考え、拡がる風景をどのように切り取るのかということを主題とした。個室では風景に開放すること、リビング・ダイニングでは逆にその風景を切り取ること、という一般的に考えると逆ではないかと思えるようなアプローチがこの場所では有効なのではないか、と考えている。