WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

標準住宅2004House-Standard 2004

竣工
2004.02
所在地
京都市
写真
平井 広行

ここでやろうとしたのは、一人の施主のためのワン・オフの「プロトタイプ」をつくろうというのではなく、顔の見えない抽象的な施主像のための住宅を考えてみようというものであった。
形式がまず「注文住宅」ではなく、ディベロッパーも施工業者も決まっている「建て売り住宅」の中での試みであり、敷地そのものも間口5.4mの宅地が3つ並ぶという、いわゆるミニ開発だった。その条件を逆手にとって、ここでは間口の狭い敷地のための「スタンダード」を試行しようと考えていた。
まず約90平米の敷地に、最大限に床面積を確保すること。主ヴォリュームの1階に個室と収納、2階にリビング・ダイニング・ルーム、3階には多目的室としての和室を配置し、それらを垂直に繋ぐ階段室の踊り場階に洗面、浴室、便所、それに納戸を配置するという、スプリットレベルの構成である。したがって建物全体は大小2つのヴォリュームからなり、大きい方は、集成材ラーメン構造をとり、一般的な木造では得がたい天井高5.2mの一室空間を実現した。一方小さい方は在来工法の木造とし、将来的な設備更新や増改築に対応しやすいよう計画した。