WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

KIM HOUSEKIM HOUSE

竣工
1987.03
所在地
大阪市生野区
写真
平井 広行

大阪の下町、戦前からの棟割り長屋が立ち並び、工場や倉庫が点在している地域に建つ小さな住宅である。長屋の一軒を切り取り、そこに間口2.58m1スパン、奥行方向5.4m3スパンの二層分の鉄骨造で、中央に中庭をもつ建物を挿入した。中庭とダイニング・ルームの床はともに白いタイル貼であり、その境界のサッシュをフル・オープンにすれば、屋内外一体となったスペースとして使うことができる。
この住宅では可能なかぎり工場製作の比重を高め、現場での作業を少なくする、言い換えるとプレファブリケーションに近い工法を考えた。工場製作されたH型鋼のフレームを4個、奥行方向に等間隔に並べた後、一階床と基礎のコンクリートを打設することで架構は出来上がる。その後成型セメント板やアルミ・サッシュをカーテン・ウォール状に取り付ければ、この建物は出来上がったも同じである。
敷地、予算といった条件は極めて厳しいものだったが、それは決して設計の足枷にはならず逆に、だからこそ飛翔する想像力もあるのだということを教えてくれた仕事でもある。