箱根の丘陵地に建つリゾート宿泊施設の計画案である。敷地は自然公園の一部で豊かな木々に覆われ、また西側を谷とした傾斜地でもあることから大涌谷や富士山を望むことが出来る。
配置計画としては比較的平坦な前面道路から急な傾斜地に向かって伸びる主棟と、その東側に、3方を道路に囲まれた副棟による構成である。周辺に広がる自然を破壊することなく、建築全体を箱根の自然の中になじませようと考え、いずれの棟も緑の斜面に沿ってセットバックし自然の中に埋没するかのような形態とした。主棟では各ユニットが谷方向に面したフルオープンの開口部と、それに沿ったテラスを設けることによって、内部から外部への空間の連続性と、さらにはその屋外空間からの眺望と間近の自然を感じることを可能となるように計画した。外部に開いた主棟とは逆に、副棟ではさながら京都の町屋のような、基本的には中庭型のどちらかといえば閉じた形式を採り、二つの棟ではそれぞれ異なった独自の屋外空間を楽しめるように考えた。