WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

Laurel Restaurant in ShanghaiLaurel Restaurant in Shanghai

竣工
2005.12
所在地
上海、中国
写真
Nacasa&Partners inc.

上海郊外に人口2万4千人のニュータウンが現在建設中である。その開発主体は現地中国のディベロッパー、都市デザインはミラノのビットリオ・グレゴッティ。その同じグレゴッティがデザインした地域中核施設の中に、レストランをつくるという計画がこれである。インテリアのコンセプトをつくったのは香港のアラン・チャン。すなわち、上海郊外のニュータウン、グレゴッティによる現代イタリア風の都市空間の中、香港のデザイナーがコンセプトをまとめ、日本人の建築家がデザインする「中華」レストラン。まさに現在の上海の状況、多国籍都市そのものではないかと思い、その依頼を快諾した。

インテリアのコンセプトは、「Chinese Landscape」。シー・タオという16世紀の南画の画家の作品が示され、それを実現して欲しいというのが、アランからの依頼内容であり、1,000m2以上の床面積の計画はほとんど、建築の内部にもう一つの建築を設計するようなものだった。メインのダイニング・ホールを見上げると「山中の閑居」としての個室群が中空に浮遊し、さらに天井には「太陽・月」としてのスカイライトがある。これは実は、既に出来上がっていた屋根スラブに直径3mの開口を開けたのだし、バーの空間としては半屋外の空間を実現したいと考え、これもグレゴッティが設計した中庭にガラス屋根を掛け、ロータスの池に変えてしまった。もう建物が竣工していたにも関わらず、よく我々の提案を認めてくれたものだと思う。

現在の上海、あんな狂騒状態の都市はバブルの頃の東京よりもすごいかもしれない。ただ、そんな都市でしか実現できない夢はある、と実感したプロジェクトだった。