中国広東省の都市広州、その新都心に建つ34階建ての高層ビルの低層階に設計したレストランのインテリアである。全体の面積は3,200m2,そこに定員250人のレストランと定員100人のカフェという巨大な規模、それも中国初の自然食レストラン+カフェを計画する、という内容である。
ここまで巨大な空間となると、ひとつのデザイン主題でまとめてしまうと、単調なものになってしまう。全体をひとつの「都市」、それも現代中国の都市と考え、石や木材、それに瓦など、中国の伝統建築で使われてきた素材を新しい空間の中に持ち込み、場所によっては広場や路地といった、様々な中国の歴史的なパブリックスペースを新しい解釈でこの場所に再現することをまず考えた。
また全体の空間のつながりを暗示するものとして中国南部では重要な風景を創り出している「水」を使うこととし、「流れる水」や「静かに風景を反射する水」など、この空間の中で水は様々に現れながら、その新しい「水景」が空間全体の基調を創り出す。
さらにもうひとつの主題はクライアントが信奉する「仏教」の表現であり、暗いガラスの壁面奥に金色に浮かび上がる経文、さながら天井面が水面であるかのように映り込む蓮形の天井照明、個室のダイニングエリアを暗示する壁画など、仏教を暗示する要素が様々な形で現れる。
中国の伝統的な空間の雰囲気を持ちながら同時に現代的でもある空間を提案したのが、このプロジェクトである。