WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

インターオフィス大阪支店 / ショールームinter office ltd, Osaka Branch/Showroom

竣工
2006.10
所在地
大阪
写真
Nacasa&Partners inc.

長堀通りに面する8階建ての全面ガラス張りのビル、その2階に位置するオフィスを併設する家具のショールームである。路面ではなく、エレベーターでアプローチする場所にあるため、都市空間との連続/切断をどう演出するのかというのが第一の主題となる。主要な機能はショールーム、オフィス、独立した会議室で、オフィスエリアはライブオフィスとしてショールーム機能も併せ持つ。それら全てに置かれている家具が商品でもあるため、3つの機能は独立していながら、同時に連続的でもあることが求められた。ここでも「連続/切断」が主題となる。
<平面・断面>
可能な限り「距離」の長い計画とすること。
ガラス張りのビルであるため、そこに入れば必然的に目前に拡がるガラス越しの都市風景、それとの出会いを可能な限り遅延させる平面計画。ガラス面に向かうのではなく、それに平行するアプローチ。ショールームとオフィスの間に会議室を挟み、バッファ空間とすること、床面のレベル差、170mmをショールームとオフィスの「距離」の演出に用いること、など。
<素材>
空間を分節する垂直面としての「布」。
インテリア全体の内壁として、ガラス面や壁面の内側に、二重に不燃布を廻すこと。そうして出来た一室空間は都市の真只中にいるにも関わらず、奇妙に都市との距離を感じさせる。さらにその中央に置いた会議室を同じ布で包むこと。アプローチをガイドする赤い二重のカーテンを長軸方向に配置すること。
そうした視覚の制御のための垂直面とは対比的に、床面は触覚、足触りの変化のために計画すること。
アプローチは「深草風たたき」。そこを抜けるとショールームの床は「敷き瓦の古色仕上げ」。そこから折り返すと170mmのウォルナット床の段差があり、「大理石紋様のモノクロ・ネガポジ逆転」パターンのカーペットで仕上げたオフィスの床へと続く。ビルの2階に居るはずなのに、まず最初にザラザラした屋外床の「たたき」と出会うこと。それが硬質な瓦床、木材と変化し、最後にカーペットへと至る。足触りと足音の変化。
平面と床面の計画では、伝統的な日本の空間である「書院とその前庭」という日本的な空間のシークエンスをビルの内部に創り上げたい、日本建築に特徴的な「連続/切断」を建築の内部に援用したい、と考えていた。ここは「大阪/関西」のショールームであり、東京とは異なった建築文化の伝統を持つ。現代の家具のショールームの床仕上げを、敢えて京都で数寄屋をつくることを常とする「興石」に委ねたのはそのためだった。