WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

日東薬品構内景観整備計画1-Cent anni HallNitto Pharma Landscaping project 1 - Cent anni Hall

竣工
2011.03
所在地
京都府向日市
写真
市川 靖史

従来工場棟として使用してきた建物を改装して、ホールと何室かの独立した会議室とを備えた建物に変更するというプロジェクトである。北側は別の工場棟に繋がり、東側は社員のためのテニスコートに面する。南は少し離れて管理棟が建ち、西側にはすぐ隣地の住宅が迫っている。そんな場所に建つ外部に閉じた建物であった工場棟を、むしろ積極的に外に開いたホール/会議室棟に改装しよう、というのが最初に考えたことだった。
しかし、単純に外壁に開口部を設けるだけではそれは実現できない。まず建物外周東面と南面には新たに「ひさし」を廻し、そこに半屋外空間を設けることで外部環境との関係を制御するための基本構造をつくる。東南方向はその先端に縦格子や帆布の遮光デバイスを取り付けることとし、それらのサイズを共通にすることで相互に取り替え可能なようにする。またホールの南側、庭園に面する部分には「ひさし」だけでなくウッドデッキを張り出すと共に開口部には木製戸、ガラス、障子の3種類のスクリーンを重ねることとし、全面開放でデッキと繋がる空間から完全遮光まで、ホールに様々な光と景観の演出が可能なようになっている。
この建物の内側から見慣れた日常の風景を眺めると「ほんの少しだけ遠い距離」を持って見えること、いつも自分たちが仕事をする場である「職場」が、ここからは微かに違った場所に見えるような空間を提供出来たとすれば、この建物は成功だと考えている。