WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

Wujiang New City planning project, ChinaWujiang New City planning project, China

設計
2011.04

呉江(Wujiang)は上海と蘇州の中間に位置する工業都市であり、人口は2007年現在で約150万人に達する。歴史的には長江の南側流域、江南地方の水郷都市のひとつであり、長江と上海と北京を結ぶ大運河を中心に沢山の湖が点在する地域の中にある。歴史的には交通は運河での水上交通が主流だったが、地域の発展と共に自動車交通がその主役となった。

呉江の街は有名な湖である太湖に面している。現在は養殖のための湖としてしか使われていない太湖を埋め立てと護岸整備によって本来の姿に蘇らせ、運河と長江に頼った流通と生産の拠点としての機能都市「Riverside city」から観光と第3次産業を受け入れることの出来る多機能都市「Lakeside city」へと呉江を変貌させる、というのが呉江市当局の意向であり、その意向を受けて提案したのがこの新都心計画である。

大都市上海の後背地域として、主に電子産業の機器生産を担っている呉江の未来の姿として我々が提案したのは、その上海から1時間程度の距離でありながら歴史的な湖、太湖に面するという地域特性を生かして、上海に拠点を置く企業の新規開発部門を上海から環境の良いこの場所に誘致すること、そのためのResearch Park areaの提案、そこで働く人のための住宅エリアの創設、それも上海では計画出来ないような、水や樹木、それに湖を生かした環境の良い住区提案、自動車だけに頼らず、別の公共交通手段である路面交通(Local Railway Transit)の導入、それにオフィス街から太湖まで形を変えながら繋がっていく、人間のための緑の空間の提案、などである。

その先、太湖の中には湖岸公園からブリッジで繋がる「太湖自然博物館・水族館」と「高層ホテル」を提案し、その二つの間には水上広場としての湖上デッキを計画する。時間を決めて太湖から吹き上がり、ライトアップされる幅700mの噴水列の向こうに太湖を望むという都市環境演出を愉しむための象徴的な場所として提案したものである。