WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

京都大学北部グラウンド部室棟Kyoto University Student Clubhouse, North Campus

竣工
2014.05
所在地
京都市左京区
写真
上田 宏

京都大学本部キャンパスの北、北部キャンパスにあるグラウンド整備の一貫として計画された運動部学生のための部室棟の計画である。
この場所にはふたつの厳しい規制が掛けられている。一つは地中に埋蔵文化財が存在する場所であるため、深い基礎を持った建築を設計するのが難しい場所であること、もう一つは京都市の景観規制を受けている場所であるため、まず勾配屋根であることが前提条件であり、さらにその屋根や壁の形式、色彩、素材までが限定されていること、の2点である。
最初の条件、埋蔵文化財については、それを傷める事がないよう配慮し、新規建物の基礎を、この同じ場所に建っていた木造の旧部室棟の基礎形状と深さと同じにした。しかし基礎形状は以前と同じであるものの、新しく必要な面積は旧建物よりも大きくなっている。それを解決するため、特殊な構造形式を考えた。本計画の外周の柱列は基礎を持たず空中に浮き、内側に建つ柱列だけが基礎の上に建つ。そこで外周と内側の2本の柱がペアとなって屋根と床を支持する構造を考える事で、小さな基礎の上に大きな構造体を乗せることを可能にした。
また二番目の条件、屋根形状については、もっとも基本的な屋根形状である切り妻とし、素材を金属、色は日本の伝統的な色彩の中から採用した濃いグレーとした。また屋根だけでなく、外部に露出している構造体全体を同じ色彩に塗装することで、全体の統一感を演出することとした。

水平に長い2層の建物の中央には、学生の集う場所にもなるように広い踊り場を持った階段を配置し、東端2階には傾斜のある構内道路と直接繋がるブリッジ、さらに地上へと繋がる階段を配置する。一見すると単純な建物に回遊する動線を導入することで、居る場所によって様々に表情を変える建築であるように計画した。