WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

苦楽園の家IHouse in Kurakuen I

竣工
1998.04
所在地
兵庫県西宮市
写真
平井 広行

敷地は南側の谷に位置する傾斜地であり、しかも前面道路はその傾斜の最も高い部分よりさらに3m程度高い位置にあるという、かなり特殊な条件のもとでの計画である。前面道路からの景観は谷へと向かう視線や周辺の緑あふれる環境を考慮し、ヴォリュームをできるだけおさえながら植栽の中に見え隠れするようなファサードとなるよう計画している。その道路レベルからつながる建物の最上階は最もパブリックな空間とし、そこから階段を順次降りていくと、リビング・ダイニング・ルームの階はセミ・パブリックな空間、さらに個室の階へと降りていくに従い、プライベートな様相が濃くなるように計画してある。そうした空間の性格は各階異なるにもかかわらず、全ての部屋はテラスや中庭などの屋外空間をその外に持ち、外部の豊かな自然の中に浮かびながらも同時にその自然そのものに抱かれる。例えば、リビング・ダイニング・ルームはサッシュを完全に開放することが可能であり、内部空間は半透明のひさしがつくり出す半屋外空間を介して外部のテラスへとつながり、そのテラスがさらに緑の谷に面する、というように内部空間から屋外に拡がる緑あふれる自然までが段階的につながってゆく。