WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

東灘の家House in Higashinada

竣工
1997.04
所在地
兵庫県神戸市
写真
平井 広行

神戸市東灘区に建つ住宅である。クライアントは母+娘という二人家族であり、それぞれのプライバシーを確固として守るというよりはむしろお互いの気配を常に感じながら生活できるような家でありたい、というのが要望だった。
決して広いとはいえない70sqm.の敷地、4.2mという間口、という厳しい敷地形状ではあるものの、北側道路を隔てた向かい側は大都市内では貴重な緑である公園があるため、この公園との関係を鍵に設計をスタートした。敷地一杯に設定した間口3.3m、奥行16.0mのコンクリートのボックスの南西隅、約1/4を中庭とし、残った部分を3層のスキップ・フロアの構成とする。二人の家族の要望に対する解答として、階段室と中庭が建物を垂直に繋ぎ、全体を一つの大きなワン・ルームではあるものの、視線は通らないような、立体的な空間を計画した。さらに1階、2階は通常の階高よりも低めに押さえ、逆に家族が集う場である3階のダイニング・ルームは可能な限り天井高を高くとり、3.9mの高さとした。大都市の中で自然に接しながら暮らすこと──地上から離れた3階にいても北側の公園の緑を直接感じる方法はないか、と考えたことの結果である。