東京・新宿の巨大コマーシャル・コンプレックスの中に計画したファッション・ブティックである。
新宿というエリアは東京という都市の持つ、混沌とした、しかしあふれるようなエネルギーを象徴するような場所であり、現在という時を生きる都市としての東京そのものである。 そんな場所にあるこのブティックではそうした環境とは逆に、むしろ静かで冷たい空間をつくりたいと考えた。白い大判のタイルの床、フロスト・ガラスのスクリーン、くもり加工されたミラーの壁面、アルミの厚板による家具などで構成された白く無機質の空間の中、モノトーンをベースにした服が浮かび上がる。
都市の狂騒の中、ただ一ヶ所覚醒した空間があってもいいのではないかという提案であった。