WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

iCB ParisiCB Paris

竣工
1997.09
所在地
パリ、フランス
写真
鈴木 久雄

パリのマレ地区に計画された小さなファッション・ブティックであり、19世紀につくられた6階建の建物の地上階に計画された。パリという都市の持つ景観や歴史といった文脈を尊重すること、例えば二面が道路に面した不整形な形の平面や、景観規制を受けているファサードを強引に変更しようとするのではなく、そうした平面形やファサードを現在の建物が持っている歴史としてそのまま受け入れるところからデザインをスタートした。平面形やファサード、さらには手摺や天井のコーニスといった装飾も基本的には残しながら、そこに亜鉛溶解メッキされた厚板の鉄板、木の壁、フロスト・ガラス、黒いラッカー塗とアルミの家具といった、最小限の要素と持ち込むことだけでこの空間は出来上がっている。そうした最小限の、素材感はあるものの寡黙な形態と、パリという都市の文化が持つ装飾的な形態がぶつかることでこれまでにはない空間が出来上がるのではないか、と考えた。少々大げさになるが西欧の文脈の中での東洋の建築家の営為とは、という主題に対する私なりの解答である。