WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

VIA BUS STOP JEANS in HakataVIA BUS STOP JEANS, Hakata-riverlane

竣工
1999.02
所在地
福岡県福岡市
写真
平井 広行

ショップのインテリアをさながらランドスケープのように考えて設計した店舗である。インテリアを外部の空間として考えるということはそこに新たな秩序を導入することに他ならない。この計画でその役目を担っているのはごく当たり前の建築的要素である「壁と床」であり、もう一つの要素である天井については与条件をそのままあらわした形状としている。結果としてこの内部空間は大理石、ライムストーン、フローリングという3種類の床仕上げと白レンガや石、様々に仕様の異なるガラス、アルミやスチールの金属パネルなどの種類の異なる素材でつくられた10枚の壁だけで出来上がっている。注意したのはそうした材料の厚さを可能な限り厚くすることであり、例えば金属パネルも厚さを少なくとも10mm以上は確保した。重要なのは身体で感じる壁や床の触覚であると考えたからであり、そうした材料の組み合わせを場所によって変化させることで、入り口付近のどちらかといえば抽象的な空間とその奥のよりコントラストの強い空間、さらに右側のモノ性の強い、具象的な空間の3つに全体を曖昧に分けている。壁はそれに沿って移動するガイドにもなっており、ショップ全体を微妙に異なる空間ごとに分節化している。
既に自分が通ってきた場所と現在居る場所の差異だけで自己確認ができるような空間、それは透明な「迷路」を不透明な素材でつくりあげようとした、というのが最も適切な表現かもしれない。