WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

北大阪設計競技North-Osaka development

設計
2003.01
所在地
大阪

私達はもはや郊外に住み、そして都心には仕事のために通う、というライフスタイルを当たり前のものだと思っている。しかし都市とは本来そのような仕事のためだけの場所ではない。ここでは計画場所が大阪という巨大都市の真只中であるにもかかわらず、そこに「都市に住む」という当たり前のことが可能な都市の在り方を求めたいと考えた。このエリアは現在京阪神都市圏のネットワークの「中継点」として機能している。しかし単に人間の通過点としての都市ではなく、新しい大阪の在り方をケーススタディーしたいと考えて計画したのがこの提案である。
中世的な、ノスタルジックな都市居住への回帰を夢見るのではなく、また大阪の中心部に20世紀的な郊外居住を新たに創り出そうというのでもない、新しい都市居住の在り方の提案である。それは実は、都市としての「香港」に近似している。機能的にきれいに計画されているわけでもない、混沌とした現実の都市、香港。深夜、仕事を終えて帰宅し眠りについた家族が暮らすユニットのとなりでは、コンピューターのモニターを見つめながら仕事をまさに始めようとするクリエーターが暮らすような、そんな24時間活動し続ける都市。ここで提案する”Incubator city”では、人は自らの「都市」を創造し、経験し、そして次の活動へ向けてIncubation — 孵化 — し続ける。「都市」とは、そんな実体を持たないactivityの総称に与えられる名前ではないだろうか。