WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

住田歯科診療医院Sumida dental clinic

竣工
2004.04
所在地
兵庫県尼崎市
写真
平井 広行

このクリニックは大阪の郊外に建つ。大都市郊外ではあるものの、周辺にはまだまだ田畑が残っているような、そんな場所である。
建物は基本的にL字型の平屋で、矩形の敷地一杯を壁で囲み、その中に配置する。壁と建物で囲まれた外部空間の一方はクリニックのためのパブリックな中庭、そしてもう一方にはここで働く人のためのプライベートな中庭という、二つの中庭があり、内部空間はそれぞれの中庭に開いた構成である。
パブリックな中庭には黒い溶岩塊が敷き詰められ、そこに1本の樹木が植えられる。中庭に面する壁面は濃い色の木材と漆喰の白で構成されており、外部でのガルバリウム鋼板を使用したシルバーのファサードとは全く異なる印象を与えるよう計画した。この中庭に入った時点で、ここを訪れる人、すなわち健康に不安を抱えている人達に安心感を与えたいと考えていたからだ。
それに繋がる内部空間にも同じ木材と白い壁面を用い、また構造と空間のボリュームとを意図的にずらすことで、待合いの空間は診察室に穏やかに繋がる。
北側のプライベートな中庭は木製のデッキ材で仕上げられ、壁の開口部からは周辺の風景が見える。こちらの中庭はむしろ外部に開いた中庭とし、ここで働く人達が仕事の合間、つかの間の安らぎと開放感を感じられるような場所にしたいと考えた。