WARO KISHI + K.ASSOCIATES ARCHITECTS

京都芸術短期大学高原校舎Kyoto College of Art, Takahara Campus

竣工
1982.10
所在地
京都市左京区
写真
渡辺渡

フリーの建築家となって初めて設計したプロジェクト。当時教鞭を執っていた京都芸術短期大学(現在の京都造形大学)の日本画と洋画のための校舎だった。同じく教鞭を執っていた大石義一先生との共同設計。意図的に4棟に分けた建築の外部空間、中庭や露地、それに屋上庭園などの設計に眼が向いていて、内部空間は教室や研究室などの機能空間のみ、外部での学生生活の多様性を許容するようなキャンパスとしたいと考えていた。設計を始めたのは1982年。建築界ではポストモダニズムの嵐が吹き荒れる中、意識的にモダニズムに興味を集中させていた自分が透けて見えるのは、今から思うと少々面映い。当時自分の中で教科書としていたのはアリソン・アンド・ピータースミッソン設計のハンスタントン中学校であり、あの即物的(ザッハリッヒカイト)な空間に魅了されていたからだ。構造も外壁もスティールで、開口部は工場のように古臭い網入りのガラスという建築で、スタイルの議論なんてどうでもいい、確実なモノがそこに在ればそれでいいし、在って欲しいという、当時の自分の切羽詰まった気分を想い出す。私の仕事の中で、多分、最も即物的な建築だろう。今でも、だ。