5棟のオフィス・ビルと3棟の共用施設からなるこのこのオフィス・コンプレックスは北イタリアのある都市郊外に計画された。それまで旧市街の中に分散していた本社機能を一箇所にまとめ、同時にホールや配送施設、厚生施設までを含めたオフィス・コンプレックスを新しくつくろう、という服飾メーカーの本社の計画である。敷地面積は約31万平米に及び、その中に計画した建物群の延床面積はその約10%、3万平米強に過ぎない。従ってこの計画では敷地全体を公園化し、その中に幾つかのオフィス棟がパヴィリオンのように点在する、という形式が最適だと判断し、敷地全体の環境計画、自然と建築との関係、敷地全体に拡がる外部空間と建築の内部空間との関係、などを主題として設計した。
敷地全体の公園化された屋外空間から建物に付随する外部空間へ、さらに中庭やテラスへと遷移しつつ内部空間へと繋がってゆく。また採光計画も日本の伝統的な住宅建築がそうであるように、建物の北側に緑や中庭といった外部空間を配置し、部屋はそれに面した北側採光としており、また南からの光も基本的にはルーバーにより拡散させた光として取り入れるように計画してある。