和歌山の家House in Wakayama / 2002.08 / 和歌山県和歌山市 / 平井 広行

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和歌山の家House in Wakayama / 2002.08 / 和歌山県和歌山市 / 平井 広行

「坪庭」は「自然」のメタファーとしての外部空間である。本来は建築にとっては本質的に外部として存在するはずの「自然」が建築の内部に象徴的に導入され、ミクロコスモスとして飼い慣らされた形で内部化する。
この住宅の中庭では「自然」をそれとは違った形で導入したいと考えた。そこにあるのは一本の樹と、抽象的な水平面としての水だけだ。たしかに坪庭がそうであるように、ここでもこの住宅にとっての「自然」である中庭には立ち入ることは出来ない。我々はそれを眺めることが出来るだけだ。
たとえば、水面を水という物質だと考えるのではなく、「光と風を受けて様々に表情を変える水平面」と考えてみること。同じ立ち入ることが禁止された庭であっても、この水庭が「坪庭」と異なっているのは、それが坪庭のように「自然の象徴」としてあるのではなく、そんな風に「抽象化された自然」としてある点だろう。
一階の主寝室は中庭=水庭に面し、その水庭にさながら浮かんでいるかのようにレベルと開口部を設定した。一方二階にあるリビング・ダイニング・ルームは二層分の天井高を持ち、外部空間である中庭と同じヴォリュームを持つ。さらに外部空間である中庭と内部空間であるリビング・ダイニング・ルームは一層分ずれて配置されている。その結果、視線が斜めに行き交うことで、直行座標系で設計された建築の内部と外部に斜め方向という新しい動きを導入しようと考えていた。
この住宅にはもう一つの外部空間がある。それはペントハウスとして計画されたスパに繋がるテラスの空間であり、これはいつも中庭のオルタナティブとして考えている屋上庭園として設計した。中庭と屋上庭園、この二つが揃うことでこの住宅は一つの建築として完成する。

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和歌山の家
竣工
2002.08
所在地
和歌山県和歌山市
photo
平井 広行